以前から気になっていた『ブラッドウォッシュ』をプレイしてみました!パッケージ的にはB級ホラー映画のような感じがしたのですが、意外にストーリーがしっかりしていてそれなりに楽しめましたので、プレイしてみた感想とオススメポイントを解説していきたいと思います。
ブラッドウォッシュの物語
物語の主人公は、『サラ』という女子大学生です。彼氏と安アパートで同棲をしていますが、この彼氏がどうしようもないダメ男でサラが彼の世話をしているような状態でした。彼は日々の生活も非常にだらしなく、サラは散らかった衣服を集めて洗濯しようと出かけます。
アパートの地下に共有のランドリーがあるのですが、何故か運悪く今日は壊れているようです。仕方なく自分の部屋へ戻ろうとすると、隣人が町のコインランドリーなら24時間営業だから利用できるかもしれないと教えてくれます。しかし、最近街には『子宮切り裂き魔』と呼ばれる残忍な殺人鬼が出没しているため、女子大学生が夜に出かけるのは危険だと忠告します。
サラは隣人の忠告を聞き入れるものの、仕方なくバスで町へ出かけていきました。その道中、バスの中で奇妙な人物に話しかけられ、今夜サラは死ぬんだと告げられます。気分が悪くなったサラはコインランドリーの近くに到着したバスから足早に降りていきました。
コインランドリーに到着すると、洗濯物を機械に入れて、選択が終わるまでの暇つぶしに近隣の店を見て回りました。そこでは、以前現在のコインランドリーの隣にあった古いコインランドリーが火災で全焼してしまったこと、その従業員だった『サマンサ・ローズ』という少女が犠牲になったこと、サマンサは妊娠していたこと、サマンサの死体が見つかっていない事などが店員の口からサラへ告げられました。また、最近の『子宮切り裂き魔』の事件は留まるところを知らず、犠牲者が増え続けているという話でした。
ダメ男な彼氏を支え、熱心に勉強して就職活動に励んでいたサラでしたが、彼氏との間に子供を授かっていました。これがのちに一連の殺人事件と大きく関わることになります。
『ブラッドウォッシュ』のゲームの特徴
昔懐かしのVHS風映像
このゲームの最大の特徴としては、そのヴィジュアル面です。ポリゴン風の映像で作られたVHSモードという画像は古臭い感じもしますが、物語の時代背景などをリアルに表現しており、作品の存在感をさらに高めています。また、殺人シーンが多いこと、一定の割合で切り裂かれた内臓などの描写があるため、その表現を和らげるためにも、写実的な映像ではなくVHS風の映像にしたのではないかなと思います。
基本的には探索系ホラーゲーム
ホラーゲームをベースとしていますが、内容としては探索ゲームとなっています。マップに散らばったヒントを集めてフラグを回収していくことで物語が進んでいきます。操作方法も迷うことはなく、フラグの改修も比較的わかりやすいので、初見でも十分に楽しめる内容だと感じました。
敢えて難点という部分を挙げれば、英語で作成されたものを無理やり翻訳しているような日本語モードのため、一部の文章で文法が間違っていたり言葉がおかしかったりする部分があります。ただ、ゲームの進行に支障が出るようなレベルではないので、気にする程度ではないと思います。
初期設定だと音が大きい
BGMに関しても昔のシンセサイザー風の音作りになっていることと、若干全体のマスターボリュームが大きいなと感じました。一部のシーンでジャンプスケアが入りますが、その際には演出というよりも音の大きさにびっくりしたので、プレイする際には設定からマスターボリュームを一つか二つ下げてプレイするとちょうどいいかもしれません。
ホラーゲームとしての『ブラッドウォッシュ』の特徴
海外のホラーゲームにありがちな、『奇怪な連続殺人』『都市伝説的な噂話』というような話がベースとしてあるので、ある意味では本来のホラー作品として十分楽しめます。映像として怖い、音響が怖いというよりも、その舞台設定や物語自体が奇怪で恐怖に満ちている話なので、その主人公として謎を解いていくというのは独特の没入感があるように感じました。
また、最後のシーンまでは殺人鬼の正体がつかめないまま物語が進んでいくことと、主人公が一般の女子大生という設定のため特殊な能力を持ち合わせているわけではありません。そのため、『次はどこから襲われるのか』『どうやってここから逃げればいいのか』という恐怖感がしっかりと演出されているように感じました。
最期のどんでん返しがなかなか面白い(ネタバレあり)
ここからネタバレです。
秘密の扉を見つけたサラは、その扉から古いほうのコインランドリーへと足を進めます。表からは入れない建物ですが、非常に不気味な雰囲気が漂っています。また、いたるところに蝋燭があったり、死体がつるされていたりと、いかにもやばい場所という状況です。
子宮切り裂き魔の被害者と思われる死体の傍には日記のようなものが残されており、その悲痛な叫びが綴られていました。おそらくこの建物の中に子宮切り裂き魔が潜んでいると確信したサラは、さらに建物の奥深くまで探索していきます。
鍵のかかった扉を銃で壊して先へ進むと一層暗い空間へとつながっていました。そこには何者かの叫び声が響いていて、今にも足がすくんでしまいそうです。すると暗闇の中から人影が現れサラに襲い掛かってきました。子宮切り裂き魔です。サラは必死の思いで戦い、命からがら子宮切り裂き魔を倒すことができました。
すると、驚きの真実がわかりました。子宮切り裂き魔の正体は火災で犠牲になったと思われていた『サマンサ・ローズ』だったのです。
彼女は妊娠したまま火災に巻き込まれ命はとりとめたものの恐らく子供は流産してしまったのでしょう。また、火災に巻き込まれたショックと恐怖で正気を失ってしまいました。それからというもの、自分には得ることが出来ないものを持つ『子供を妊娠した女性』を狙って殺人を繰り返していたというのが一連の事件の真相でした。
場面は変わり、サマンサの死体を解剖するために警察署で解剖医が解剖室に入ると、突然停電が起きました。すぐにブレーカーまで行って電気を復旧しますが、解剖室に戻るとサマンサの死体がどこにもありません。おかしいと思った解剖医は解剖室を出て調べようとしますが、そこへサマンサが現れ解剖医は襲われてしまいゲームは幕を閉じます。子宮切り裂き魔の恐怖は『まだ終わらない』ということなのでしょうか?
『ブラッドウォッシュ』のオススメポイント
サクッと遊べて物語もしっかりと完結する
今回2時間くらいでクリアできましたが、簡単に終わったからと言って中身がなかったかというとそうではありません。短いゲームながら、物語の起承転結はしっかりと構成されておりエンディングを迎えた時の納得感は残るゲームでした。
また、操作やゲーム中のイベント等もわかりやすくサクサク進むので、シンプルにプレイ出来て内容もちゃんと話がまとまるという点では不満はありません。
ポリゴン表現が逆に想像力を掻き立てる
ポリゴン風の映像のため一見すると『古臭い』と感じるかもしれませんが、逆にそれがプレイヤーの想像力を掻き立てて、本を読んでいるような自分だけの情景描写が体感できるゲームと言えるでしょう。美麗な映像のゲームは、それはそれで美しいしリアリティもありますが、このようなある意味『制限のある表現』の場合、その先にある『本当のリアル』をプレイヤーにゆだねることで、面白さが倍増しているような感覚を覚えました。
物語がしっかりしている
殺人事件と主人公のパーソナリティがしっかりとリンクしており、ストーリーが成立している部分は素晴らしいなと思いました。これまでいくつもホラーゲームをプレイしてきましたが、ゲームとして成立させるために無理やりな人物設定や舞台背景などが多いゲームもたくさんありました。
このゲームでは主人公の生い立ちや感情などが読み取れること、殺人事件がどのようにゲームの展開に影響するのか、それが主人公の行動にどうやって影響していくのかなどが合理的に作られており、無理やり感のないいいゲームだったと思います。
また、短いゲームにありがちな突然の物語の進行ということもなく、ここに至るまでの背景や伏線がしっかりと語られているので、納得感のある仕上がりになっていると思います。ゲームに出てくるコインランドリーの洗濯機と子宮がモチーフになっているんだろうなという点も、なかなか文学的な表現だなと感じました。
まとめ
ということで、『ブラッドウォッシュ』の初見プレイレビューを解説しましたがいかがだったでしょうか。ゲーム自体はシンプルでわかりやすくライトにプレイできる内容でしたので、ホラーゲームファンの方にお勧めできる内容だと思います。
また、オカルト的なホラーゲームと違って昔の映画にあるような、身近な題材がホラーとして描かれており、登場人物の感情も想像ができる内容でいいゲームだと思います。
プレイステーションストアでちょいちょい割引が入っていますので、気になった方は是非プレイしてみてはいかがでしょうか。最後までご覧いただきましてありがとうございます。
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