今回は、2023年2月15日にプレイステーション版がようやく発売された『オキサイドルーム104』を初見プレイしてみました。他のプラットフォームでは昨年発売となっておりましたが、今回ようやくプレステ版が発売となり、前々からめちゃくちゃ気になっていたタイトルだったので非常に楽しみでした。
そんな『オキサイドルーム104』を初見プレイしてみた感想と、プレイ後の評価を独断と偏見でレビューしてみたいと思います。個人的には非常に楽しめたゲームではあったのですが、何が良かったのか、逆に何が物足りなかったのかなど詳しく解説できればと思います。
ネタバレを含みますので、未プレイの方は閲覧をご注意ください。
オキサイドルーム104のストーリー
まずは、オキサイドルーム104とはどんなストーリーなのかという点を簡単に触れておきます。
主人公は若い青年で『マット』という人物です。雨の中車を走らせていると、あるモーテルの前で停車します。モーテルからはオレンジ色のつなぎを来たスキンヘッドの男が誰かと話をしていました。
マットは目覚めるとバスタブの中で眠っていて、下半身が裸の状態でした。なぜ自分がここへ連れてこられたのか、誰に連れてこられたのか、どうやって連れてこられたのか、そしてここはどこなのか。何もわからないままあたりを見回すと古いラジカセと自分の服が置いてあります。
何とか部屋の外へ出ると見たことのない女性の姿。また、振り向くとおぞましい生き物が今にも自分に襲い掛かろうとしている。必死に逃げていくとそこは狭い倉庫のようです。倉庫の中には拳銃が1丁。そして『111』と書かれた鍵。何がどうなっているのかさっぱりわからず主人公はこのモーテルから逃げだす方法を探すため奔走します。
ゲームシステム
モーテルの部屋の鍵を探して次のヒントを集めていく
序盤で戦う武器としてマグナムリボルバーを入手しますが、それほど戦闘めいたものはありません。どうしても交わすことができない敵がいる場合にのみ倒すという印象が強いです。
基本的にはマップ上に散らばったアイテムを集めてモーテルの部屋を渡り歩き、次の部屋へ入るための鍵を探して脱出を目指していくというのがこのゲームの主幹部分になります。よって、個人的にはホラーというよりは探索ゲームの印象が強く残りました。
しかしながら、主人公が不死身というわけではありません。体力という概念はないのですが、『出血』と『毒』という状態が存在して、それぞれ必要なアイテムで対処しないと主人公が死亡してしまいます。
ストーリーの断片はところどころに落ちている書類で確認できる
ゲームを通して登場する人間は主人公とオレンジ色の服の男(医師)がメインです。女性も1名一部で登場しますが、特にゲームの物語や背景にかかわるセリフなどはなく、物語を進めていくうえでの情報は『書類アイテム』という形でマップ上に配置されています。
基本的に誰かが記したような手記や手紙のような形のものがほとんどで、内容から察するに主人公と同じようにこのモーテルに連れてこられた人がその手記を残したと推察します。
自分に何が起きたのか詳細に記されている場合もあれば、痛みだけを綴ったような狂気じみた内容のものもあります。また、4名くらいの名前が出てくるので、誰がどんな状況にあったのかということを把握するのがちょっと難しい内容のものもあります。しかしながら、内容が仮に理解できなくてもゲームの進行上問題は特にありません。
敵は大きく分けて2種類存在する
ゲーム内で登場する敵は大きく分けて3種類存在します。それは、物理的に攻撃して『傷』を負わせるタイプの敵。もう一つは『毒』を主人公に噴きかけてくるタイプのもの。そして、その両方を主人公に行うタイプのものです。
この『傷』と『毒』が前述した主人公のステータスとリンクしており、攻撃を受けたまま手当てをしないと主人公は一定時間経過後に死んでしまいます。
傷を負わせるタイプの敵はしゃがんでいるとこちらに気づかないという特性があるため、うまく逃げることが可能です。毒のタイプは毒霧を噴いてくるので、その範囲外を通るようにすれば避けられる場合もあります。
探索する部屋の特性に応じてアイテムを管理する必要がある
基本的にはモーテルの各部屋でアイテム入手や謎解きをしながらゲームを進行していくことになりますが、アイテムが最大で9種類しか持つことができません。同じアイテムで複数持つということは可能ですが、種類の違うアイテムをたくさん持っていくことができないので、時としてはアイテム管理が非常に重要となります。
特に、『バスルームの鍵』については個人的に重要アイテムであると考えます。所々の部屋ではバスルームに鍵がかかっているので、鍵が必要になりますが、『どの部屋のバスルームで鍵を使うか』ということがゲーム進行に結構影響してくるかなという印象を受けました。
また、僕がプレイした中では入手したものの使用しなかったアイテムがいくつかありました。ここについてももしかしたらまだまだやり込み要素として残っているのかもしれませんが、どのアイテムがどんなところで、どのような役割を果たすのか?というのが最初は見えないところもゲームの面白さを引き立てていると思います。
謎解き要素のヒントはない
ヒントはないというと語弊があるのですが、だいたい謎解きがある場合はそれまでの道のりでヒントを誰かから与えてもらったり、文章でどこかに隠されていたりと何かあるものですよね。
このゲームの場合、書類はたくさんあるんですが、謎解きにつながるような記載はほとんどないので、その場その場でしっかり探索して考えないと謎解きができません。
それほど難易度の高いものはありませんが、部屋に敵がいたりするとパニックになってうまくいかなかったり、最悪の場合主人公が死亡する場合もあるので注意が必要な部分かなと思います。
オキサイドルーム104の最大の特徴であり面白い部分
再度目覚めると、モーテルの様子が変化する
オキサイドルーム104の最大の特徴は、主人公が死亡したときのその後のゲームの進行方法にあります。基本的には敵に攻撃を受けたりして死亡すると、一番最初の104号室のバスタブの中から始めることになります。
しかし、書類については取得済みの状態となり、アイテムの位置や取得方法が変わり、敵の配置もどんどん変わっていきます。つまり、主人公が死亡した場合は一番最初からリスタートという形になりますが、その場合のゲームを進めていく手順は都度変わっていくため、毎回新鮮さがあると考えます。
僕がプレイしたところ、まっさらな状態からゲームをスタートして完全にゲームオーバーになるまで(ゲームオーバーとは、何度か死ぬとエンドロールが流れるタイミングがあるので、そこまでを区切りとします)を1セットとした場合、1セットで主人公が4回死亡してリスタートが繰り返されます。
再度目覚めると、敵が増える
僕がプレイしたみた限りですが、最初の部屋である104号室を出たところで、一度も死なずに104号室を出た時と、何度かリスタートして104号室を出た場合では庭に配置される敵や各部屋に配置される敵が圧倒的に数も難易度も違いました。
まず、死なずにゲームを進めた場合には敵はほとんど出てきません。よって、いかにしてリスタートしないでゲームを進めるかという部分がクリアの鍵になるのかなと思いますが、ゲームオーバーになる手前のリスタートでは、庭で徘徊している敵が現れたり、各部屋の敵の配置がどうやってもダメージを食らうような配置になっていたりと、難易度が高くなっているような気がしました。
敵単体で見た場合にはそれほど強力な的ないないものの、何度も遭遇する場合にはダメージを食らうこともあります。手当てするアイテムには限りがありますので、何度もダメージを食らうと必然的にアイテムが枯渇します。故に、最終的にはダメージを回復できず死亡してしまうということになり、リスタートすればするほどクリアすることが難しくなっているのではないかと感じました。
再度目覚めると、モーテルの作りが変わる
アイテムの変化や敵の配置の変化はゲームではありがちですが、部屋の内装も変わります。わかりやすいのが壁に掛けられている絵です。はじめは抽象画だったものが、次第に不気味な目玉の絵に変わります。また、最初は鍵が閉まっていた箱についても開いていたり、あったはずのものがなくなっていたりします。
それだけではなく、リスタートを続けると部屋自体が何となく古びた感じになり錆びてきます。引き出しやキッチン、ベッドや家具などがどことなく錆びてくるので、これも『オキサイド』の意味する『酸化物』に関係しているのではないかと考えています。
ゲーム全体的な考察
ここからはプレイを終えての自分なりの考察を独断と偏見で紹介していきます。正直完全にやり込んだわけではないので、想像も交えて記載しますので一個人の意見としてご覧ください。
主人公はなぜオキサイドルームに捕らえられたのか
そもそも最初に抱く疑問は、主人公がなぜモーテルのバスタブで目覚めるのかということだと思います。ゲームを進めていって終盤で見えてくる部分ですが、どうやらオレンジ色のつなぎを着たスキンヘッドは医師というキャラクターで、何かの実験をしているようでした。その実験には『エヴァ』という女性が関係しており、精神世界がどうたらとか言っていました。
エヴァについてはゲームの途中で入手する写真に写る女性とそこに書かれた名前から、序盤で2階を探索すると203号室へ消えていく人影がエヴァであると推察します。
ただ、エヴァについては多く語られず、最後に彼女が軸になって怪しげな研究を医師がしていたというような描写が描かれるのみで、どのような関係性なのか、何をどんな目的で研究しているのか、主人公とどんなつながりがあるのかなどはあまりはっきりわかりません。
僕が想像するに、医師はエヴァを利用して科学的な研究をしていた。その研究は人類を進化させることができると信じていた。そして、その実験の被験者として主人公が選ばれた。その実験は精神世界のようなもので、それがモーテルだった。そのモーテルの中でエヴァの精神とつながることが主人公に課せられた実験の目的だったというような感じでしょうか。
個人的には世界観として『サイコブレイク』に方向性が似ている気がしました。
ゲームの途中で出てくる敵は他の被験者?
ゲームの所々でいくつかの敵と遭遇します。そのすべての敵が主人公によって倒された時にまるで人間のような悲鳴を上げるのが個人的には気になりました。また、ゲームのトロフィーで『イヴィルから逃げて倉庫へ入る』という『対峙』というトロフィーがあるのですが、これもおそらくゲーム中の書類からイヴィルというのは人間である可能性が高いと思います。『邪悪なもの』を指す『evil』である可能性も否定はできないのですが、書類にイヴィルという人物の記載があった気がするので、僕の中では何かしらの人物名であると推察します。
そうなると、何故書類を残す(自分の考えを文章で残す)ことができた人間が、あのようなおぞましい怪物になってしまったのか、そして、何故自分を追ってくるのかという部分については極めて謎です。ただし、ゲーム中に登場する敵は、自分と同じように捕らえられてモーテルに連れてこられ、実験体にされた被害者の成れの果てなのではないかという仮説が立ち上がりました。
だとしたならば、医師が目指していた実験の目的は人間を精神世界で怪物化することだったのか?という疑問が出てきて、それは何のためだったのかというのが大きな疑問として残りました。一番最後の部分で進化がどうたらみたいな書類もあったので、目的としては怪物化した人間をどうにかしようとしていたのかもしれません。
スキンヘッドが電話していた相手
全体を通して一番気になったのは、スキンヘッドの医師と呼ばれる男が電話で話していた相手です。ゲームオーバーになった時にも、クリアしていた時にも、電話で誰かと話をしていました。また、クリアした際には実験が失敗したことを告げ謝罪をしていたこと、もう一度チャンスが欲しいと相手に依頼していたこと、敬語で話していたことから何か大きな組織なのか、それとも自分よりも格上の相手なのか、いづれにしても医師は何か別の存在に指示されて動いていた可能性が高いと考えます。
それが一個人なのか大きな組織なのかは現プレイ状況ではわかりませんが、医師の行動とは別に裏に大きな存在があることは確かです。
また、配信で唯一組織的なものの名前として出てきた『建設会社のR.ロレンツォ』という人物が何か関係しているのかもしれません。ゲームを進めていくと部屋の中に建設資材のようなものが置いてある部屋もあったので、単にモーテルで作業するために依頼された建設会社なのか、それともその建設会社が黒幕なのかやり込み要素としては気になるところですね。
オキサイドルーム104をプレイして面白かったポイント
では、ここから実際にプレイしてみた僕の感想とおすすめのポイントをお伝えしようと思います。
リトライしても新鮮さがある
特徴としても紹介しましたが、このゲームではゲームオーバまでのリトライ時に少しづつプレイヤーを取り巻く環境が変わります。アイテムの位置、敵の配置、謎解きのヒントやその他オブジェクト、全く違う訳ではなく若干違うというところが味噌で、前回とは違うけどなんとなく知ってるという所がほんの少し達成感と新鮮さを醸し出していると思います。
プレステ以外のプラットフォームでは同じことの繰り返しで退屈だという意見もあるようですが、僕としては新鮮さや斬新なアイデアの方が強く感じました。
ちょうどいいホラー感と探索要素が強め
個人的にはもう少しホラー感が強い方が好みではありますが、サイコミステリー寄りのホラーというのも好きです。オキサイドルーム104はめちゃくちゃ怖いというわけでもなく、それでいて平凡というわけでは無いので、比較的広いユーザーに対してプレイできる余地を残しているのでは無いかと思いました。
また、敵は出てくるものの戦闘要素は最小限に抑えられており、探索に時間を割く作りになっています。僕は個人的にアクション系が苦手なためこの点はとても良かったかなと思います。逆を言えば、アクションをこなしながらハラハラドキドキを楽しみたいという方には退屈に感じるかもしれません。
全体的にライトにプレイしたいという人向けなのかなという感じがしました。
謎解きがそれぞれ単独で完結する
モーテルの各部屋には謎解き要素があるのですが、それぞれが独立して存在しています。ゲームによっては前の前で入手したアイテムで鍵を開けて、先にあるアイテムをまた戻って使用するというような回りくどいものもありますが、このゲームの場合部屋の中でほとんど独立した謎解きになっているためシンプルでいいなと思いました。
また、ヒントについてもその部屋の中で探索できるようになっているので謎解きが苦手な人でもそれほど苦戦せずにプレイできるのではないかなと思います。
オキサイドルーム104をプレイしてみてイマイチだったポイント
いいところと表裏一体ではありますが、ここからはイマイチに感じた点、現段階では釈然としない点を解説します。
全体的にどっちつかずの中途半端感
前項でライトにプレイできると言いましたが、これを悪く言った感じです。ホラー要素も探索要素も度合いとしてはそれほど強く無いので、悪く言えば中途半端な印象を受ける場合があると思います。
また、ゲーム自体のプレイに関しても一度プレイしただけでは全体像やストーリーが掴めない部分が多いため、ライトにプレイできると思いきや全容解明のためにはやり込みが必要という感じで、個人的にはクエスチョンが出た部分です。
リトライよりは人物ごとのチャプターでも良かった
オキサイドルーム104の特徴としてリトライするごとにゲームが変化すると言いましたが、この点も面白い発想だと思います。ただ、ゲーム中の書類で登場する人物名としては主人公を含めて4名ほど出てくるので、それぞれのチャプターがあって、その進行状況が互いに影響するという感じの方がより深みが出てくるのかなと思いました。
恐らくリトライごとにゲームの様子が変わるというのも時間の経過を表現しているのかなと思った(部屋が錆びるというのも時間経過で酸化していると感じた)ので、時系列順に各キャラクターの章を用意して、同じ場所を探索するけど、時間軸と以前のプレイヤーの探索状況によってアイテムなどが変化するという方が面白いのでは無いかなと思いました。
結局スキンヘッドは誰だったのか
個人的にはここがモヤっとポイントでした。オープニングでも登場するスキンヘッドは間違いなくこのゲームのキーパーソンだと思います。
ただ、なぜ彼が人々をモーテルにて被験者として監禁しているのか、なんの目的で誰に指示されてやっているのかというゲームの物語に関わる部分があまり描写されないので、ゲームはクリアできたけど結局何だったのかという点がモヤモヤしました。
また、実験の重要人物と思われるエヴァについても結局その後どうなったのかなどあまりよくわかりません。僕は個人的に物語の中身を結構気にする方なので、核になるであろう部分がほとんど語られずにゲームが終わったので考察しようにも分からない部分が多いなと思いました。
まとめと全体評価
というわけで、個人的な解釈をもとにレビューさせていただいたオキサイドルーム104ですが、全体的な評価は『10点満点中6点』という感じです。
正直どっちつかずというゲーム性が一番気になった事、物語の全容が見えにくいという点が減点要素です。ただし、それを差し引いても楽しめた部分はあり、これからのプレイを推奨出来る点もありましたので真ん中のポジティブ寄りという評価にさせていただきました。
いかがだったでしょうか。まだ通しでクリアしただけなので、再度プレイしてみて書類などももう少し詳しく掘り下げて全体を掴めるようにやり込みしていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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