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【レビュー】ある町で起きた奇妙な事件の真相に震えた『ペインスクリークキリングス(The Painscreek Killings)』初見プレイレビュー

ゲームレビュー
ペインスクリークキリングス

今回は、『ペインスクリークキリングス(The Painscreek Killings)』の初見プレイレビューについて解説したいと思います。

まず初めにお伝えすると、このゲーム、とてつもなく物語がいいです。ネタバレ必至で解説しますので、未プレイの方はぜひ一度ご自身でプレイしてからご覧いただくことをおすすめします。

本作の物語が非常に素晴らしいと思いましたので、作中で登場する謎解きなどは別サイトさんを紹介させていただくことに留め、この記事では物語に焦点を当てて解説していきます。

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ゲームの概要

まずは、ペインスクリークキリングス(The Painscreek Killings)について簡単にご紹介しておきましょう。

基本的には探索のみのゲーム

※プレイ画面キャプチャーより引用

このゲームは主人公を操作してペインスクリークの町をひたすら探索して謎を解いていくというゲームです。キャラクターは主人公以外は登場せず、残された資料を元に単独で調査をすることとなります。

ゲームプレイ自体は非常に単調に感じますが、その分物語が濃厚でわかり始めるとその綿密な構造に虜になるでしょう。

ストーリー

※プレイ画面キャプチャーより引用

舞台はペインスクリークという小さな町で、1995年に起きたとされる奇妙な殺人事件をきっかけに物語が始まります。

主人公は女性記者で、上司から過去にペインスクリークで起きた殺人事件について調べてくるように指示を受け車を走らせます。

ペインスクリークの町は静まり返っており、誰一人として住民は存在しません。過去に起きた事件がきっかけで住民は町を離れて今は町全体が廃墟と化しています。その中で主人公はわずかな手掛かりから過去に起きた事件の真相に迫っていきます。

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登場人物

まず、この作品に登場する登場人物を紹介します。非常に個性豊かな面々が登場します。敢えて一部の登場人物を伏せながら、後述する物語の解説の中で追加していきます。

ロバーツ家
  • チャールズ・ロバーツ
    →ペインスクリークの町長を務めていた人物。『ロバーツ鉱業』という炭鉱会社の社長。
  • ビビアン・ロバーツ
    →チャールズの妻。会社の副社長を務め、ペインスクリークコミュニティ病院などに寄付をするなど、町の活性化に尽力した。
  • トリシャ・ロバーツ
    →ロバーツ家の一人娘。後述するデリック・タイラーやスコット・ブルックスとは幼馴染であり、スコットと交際していた。
ロバーツ家使用人
  • ドロシー・パターソン
    →ロバーツ家に仕える使用人の中で一番の古株。夫妻からも信頼されており、トリシャからも慕われている。使用人のリーダー的存在。
  • バーナード・ホプキンス
    →執事であり、ドロシー同様古株ではあるものの変わり者で外交的なタイプではなかった。主に運転手を務めており、父親を1973年に起きたロバーツ鉱山事件で亡くしている。
  • アンドリュー・リード
    →それほど高い地位ではないものの、雑務や屋敷の管理を担っていた。真面目に働く人物像が描かれているが、酒浸りでスコットが世話をしていた。火事により死亡している。
  • ワンダ・タイラー
    →デリックの母であり、ロバーツ家に仕える使用人の一人。どちらかというとロバーツ家を客観視している。病気を患い、ペインスクリークコミュニティ病院に入院するものちに亡くなる。
  • デリック・タイラー
    →ワンダの息子。トリシャやスコットとともに幼少期を過ごすが、思春期にはトリシャに思いを寄せ、スコットと対立する。父親がいないことを学校でからかわれていた。
町の人
  • カルヴィン・ナイト神父
    →先代のペインスクリーク教会の神父。序盤では多くは語られないが、後半で彼の存在が重要なものとなる。
  • マシュー・ブルックス神父
    →カルヴィン神父の次の神父。精力的に活動しており、町の人からも慕われていた。ロバーツ家とも交流があり、スコットを養子として迎え入れる。
  • スコット・ブルックス
    →孤児であり、自分の出生について不明な部分が多いが、マシュー神父のもとで生活している。トリシャと交際しており、デリックとは一時期仲たがいすることもあった。
  • オリバー・ギブソン
    →町の写真館の店主。ドロシーとも交流があり、トリシャに対して写真を教えていた。
  • メアリー・マルティネス
    →ムーンカフェの経営者。町の人々の情報交換のハブの役割を果たす。客観的な立場で様々な情報を持っていた。
  • ジェームス・ハワード医師
    →町の病院の院長。ビビアンから基金などの援助を受けていることもあり、親交が深かった。
外部の人
  • スティーブン・モス探偵
    →主人公よりも先に町を訪れ事件について調査していた探偵。何者かによって依頼を受けて町にやってきたということが語られる。

さて、すでに登場人物が多くおなか一杯になりそうですが、基本的にはロバーツ家を中心とした人間関係のもとに様々な事件が起きていきます。

その中で、事件の真相はどこにあるのかという点を探っていくのが、今作の肝となっています。

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物語に関わる重要な事件

次に、物語に関わる重要な事件を紹介していきます。僕が解釈した時系列で解説していきます。(もしかしたら間違ってるかも)

一部、物語の進行に合わせて登場人物を追加していきます。

序盤でわかること

そもそも主人公がペインスクリークの町にやってきたきっかけは、1995年に起きた『ビビアン・ロバーツ殺害事件』の真相を確かめる事が目的でした。そして、『犯人は誰か』『凶器は何か』を調べて、『紙面に載せる写真を取得』することを上司から命じられて町へやってきます。

1995年に起きたビビアンの殺害では、容疑者としてスコットが容疑を向けられることになります。その理由は、ビビアンが発見される前日の夜、林の中でビビアンと口論しているところを目撃したという証言があったからです。

しかし、スコットは容疑を否認しており、明確な証拠もつかめないままになっていました。証拠不十分でスコットは釈放されます。

※プレイ画面キャプチャーより引用

同じ年の6月、ロバーツ家の使用人だったアンドリューが火災によって死亡します。焼け跡からウォッカの瓶が見つかったことから警察は事件性はないという結論に至ります。

7月には病院のヘンリー医師も町の外の湖で溺死しているところを発見されます。半月以上も湖の中にいたとされ、私的な理由ではなく業務的な理由で街を出たという話でした。

序盤でわかる事まとめ
  • 1995年に3つの事件が起きる
    →ビビアン殺害事件
    →アンドリュー焼死事件
    →ヘンリー医師溺死事件
  • ビビアンの殺害についてはスコットが容疑者として浮上するも証拠不十分で釈放

中盤でわかること

中盤になってくると、何やら怪しい雰囲気の事件がいくつも明らかになります。

※プレイ画面キャプチャーより引用

1974年ごろ、ビビアンがトリシャを出産した直後、体調不良により入院しています。この時に担当医として診察していたのがヘンリー医師です。どうやらビビアンが精神不安定になってしまい、数か月の入院を余儀なくされました。

その間に事件が起こります。

なんと、ビビアンの夫であるチャールズが、メイドである『ソフィア・ミラー』と不倫関係に陥り、あろうことか子供が出来てしまったというのです。男の子であり、『ヴィンセント・ロバーツ』と名付けられました。

しかし、町長であるにもかかわらず不貞を働いたことをドロシーがチャールズの母マデリーンに手紙を送り、マデリーンはヴィンセントを正式な後継ぎとして迎え入れる事をチャールズに指示していました。

ところが、数日後にソフィアがヴィンセントを連れて町を出たという話が持ち上がります。

それから2か月ほどしたある日、チャールズの母マデリーンが心臓発作で亡くなります。時を同じくして、ヘンリー医師からビビアンに宛てた手紙の中に『マデリーンの新しい処方箋を君に渡す。いつもの3倍の強さの処方薬だ。やると決めたら怪しまれないように』という手紙が届いていたことが分かります。

他の資料と総合すると、ビビアンとヘンリーは単なる医師と患者や、支援者という関係ではなく、長年の知り合いだったようです。

中盤でわかる事まとめ
  • トリシャが生まれた後ビビアンが体調不良で入院
  • ビビアンがいない間にチャールズがメイドと不倫
  • チャールズの母は、赤ん坊を正式な後継者にするつもりだった
  • 約2か月後、心臓発作でチャールズの母は謎の死を遂げる

終盤でわかること

※プレイ画面キャプチャーより引用

さて、かなり端折っていますが物語は後半に差し掛かります。

中盤で発覚したチャールズの不倫騒動ですが、実は不倫相手のソフィア・ミラーは、もともとマシュー神父がいとこであるという説明のもと、チャールズに紹介した人物でした。

そんなマシュー神父ですが、養子として引き取ったスコットとの関係が悪化してきます。それが、ビビアンの事件が起こる2年前の1993年です。

同じころ、スコットが世話をしていたアンドリューが譫言のように『ソフィアすまない…』と口にするのをスコットが耳にします。それが気になったスコットはいろんな人に『ソフィアとは誰なのか』ということを聞いて回ります。すると、過去の事件の真相が見えてきました。

それは、ソフィアが姿を消した頃の話。実はあの時、ビビアンからの指示で、アンドリューとヘンリー医師は結託して、ソフィアに対して町を出る様迫っていたようです。ふとしたはずみで、ソフィアは井戸に頭を打って亡くなってしまいました。

後片付けをするようビビアンから言われたアンドリューは、ソフィアを井戸に沈め、赤ん坊であるヴィンセントをカルヴィン神父に預けたのでした。カルヴィン神父は赤ん坊をセントパトリック孤児院に預け、赤ん坊の名は『スコットだ』と言いました。

そうです。ヴィンセント・ロバーツはスコット・ブルックスなのです。

カルヴィン神父がスコットを孤児院に預けた10年後、マシュー神父が孤児院を訪れスコットを養子として迎え入れました。

普通のゲームであれば『やっぱりあの赤ん坊がスコットなのか。じゃあ、母親を殺された逆恨みでスコットがビビアンを殺したんだな』という推察が出来るかと思います。

でも、このゲームはここでは終わりません。さらにどんでん返しが待っています。続きをどうぞ。

自身の出生の秘密について知ったスコットは、交際していたトリシャと異母兄弟である事を自覚し、どうしたらいいか分からないとマシュー神父に相談しました。すると、マシュー神父はスコットの実の父親がチャールズであることを知っていました

さて、スコットはビビアン殺害の容疑をかけられたあと、事件について独自に調査していました。ロバーツ家はもちろん、その使用人についても詳しく調査し、町の事についてもたくさん調べていました。

そして、スコットはある結論に達しました。

※プレイ画面キャプチャーより引用

ビビアン殺害の犯人は、マシュー神父である事に。

※プレイ画面キャプチャーより引用

実は、いとことしてソフィアをチャールズに紹介したマシュー神父ですが、実際には孤児院で知り合っただけで血縁はありませんでした。それどころかマシュー神父はソフィアに対して思いを寄せていました。しかし、ソフィアはそれを知ってか知らずか、チャールズと不倫関係にあったことを、後ろめたさ半分嬉しさ半分のように書き記していました。

マシュー神父は、自身の最愛の人であったソフィアを死に追いやったビビアン、アンドリュー、ヘンリー医師を手にかけ、ここは推測ですが、真相に近づいていたスコット、そして外部からやってきたスティーブン・モス探偵も殺害しています。

ビビアンの死後数か月後、スコットも殺害されており、その悲しみに暮れたトリシャも気がおかしくなり入院、その後病院の屋上から身を投げています。

このすべてを理解した主人公は教会の隠し扉を開けて凶器が斧である事を確認すると、教会に入ってきたマシュー神父に追いかけられますが、亡霊として現れたソフィアに導かれるように地下道を通って病院の屋上へとたどり着きます。

そこで、マシュー神父が足を踏み外して転落してしまい、物語は終わりを迎えます。

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物語の解説

ということで、上記の物語の概要はご理解いただけましたでしょうか。実際には、ミスリードなどの要素も多分に含まれており、もっと複雑な内容なのですが、かなりポイントを絞って解説すると、上記のような内容になるかと思います。

次に、登場人物に焦点を当てて物語のポイントを解説していきたいと思います。

市長の裏の顔 実は糞野郎だったチャールズ・ロバーツ

ペインスクリークキリングスで起きた様々な怪奇事件を紐解くうえで元凶ともいえる人物が、市長だったチャールズ・ロバーツです。この男、なかなかの糞野郎です。

※プレイ画面キャプチャーより引用

元々は炭鉱会社を経営しており、母親に関する資料から代々受け継がれてきた名家であることも読み取れます。そんな恵まれた家庭に育ちながら、この糞野郎はいくつかの失態を犯します。

まずは、炭鉱会社で事故を起こし会社の経営が傾きます。事故が起こってしまうのは仕方のないことですが、ここでの糞野郎ポイントは『ビビアンの助力があって何とか立て直した』という点です。資料を読み解くと、傾いてしまった経営状況を立て直したのはビビアンの力が大きかったことがよくわかります。

一方で、社長であるにも関わらず、チャールズの功績などは残されておらず、妻であるビビアンにおんぶに抱っこだったことがよくわかり、ポンコツ感が漂っています。

そして、何よりもこの物語の全てのきっかけを作ってしまった糞野郎ポイントは、チャールズがメイドであるソフィアと不倫関係に陥ってしまったことです。

娘のトリシャが生まれたあと、ビビアンは精神不安定となり数か月の入院を余儀なくされます。その間幼いトリシャの面倒は年長の使用人であるドロシーに任せ、なんとチャールズはマシュー神父から紹介された新人メイドのソフィアと不倫関係に陥り、肉体関係の末あろうことか子供が生まれてしまいます。

名門の家系であり市長という立場にありながら、自身の家のメイドに手を出したとなれば大スキャンダルです。この話を聞きつけたチャールズの母は、生まれた子供(男の子が生まれた)を正式な後継ぎにするようチャールズに指示をして、穏便に済ませなければいけないと手紙で伝えています。ここでも、自ら事態の収拾に奔走したわけではなく、ママに助けてもらっているチャールズの糞野郎っぷりがみて取れます。

やり手の策士 ビビアン・ロバーツ

物語の冒頭で語られるメインテーマ『ビビアン・ロバーツ殺害の詳細を調査する』というミッションから分かるように、ビビアンは一番最初に事件の被害者として語られます。故に、最初の方は『可哀そうな人』という印象が強かったのですが、資料を紐解いていくうちに、ビビアン自身もなかなか癖のあるキャラクターであることが分かります。

まず、チャールズと結婚しロバーツ家に入ったビビアンは、チャールズの経営していた炭鉱会社の副社長に就任します。事故が起きた時もチャールズではなく、ビビアンの手腕によって会社を立て直したという記述がみて取れますので、経営の才能があったことがよくわかります。

また、築き上げた財産を元に基金を設立し、荒廃していたペインスクリークの街の活性化の為、病院を充実させたり街の復興に力を入れたりと、地域の人からは絶大な信頼を得ていた人物でもありました。よって、ビビアンの死は偉大な人物を失ったという印象を町の人々に広めたのでした。

しかし、良く資料を見てみるとビビアンもなかなかの曲者だったことが分かります。

チャールズの糞野郎が不倫をした際に、ビビアンは妊娠が難しい身体であることが読み取れます。一方で名家の嫁として、チャールズの母親からは後継ぎを生む様にという圧力を掛けられており、そのことを酷くプレッシャーに感じていたようでした。

基金の設立によって衰退しつつあった病院を立て直したことが資料に残されていましたが、実はジェームス・ハワード医師とは単なる患者と医師の関係ではなく、昔からの知り合いだったことが語られます。(男女関係があったかは不明)

要は、ビビアンの経済的手腕や行動力は生まれ持っての才能だったと思いますが、病院を支援した裏にはジェームスとの密接な関係があっての話だったように感じてなりません。大人の世界ってつくづくドロドロしていますね…。余談ですが、事件の起こる少し前に、ジェームスが基金の金を横領しており、ビビアンがブチ切れている描写も資料に残されています。

さて、出産後に体調を崩したビビアンですが、ようやく退院した矢先に夫の浮気と、その相手がメイドであることにブチ切れます。前述した通り、ビビアンはアンドリューとジェームスと共にソフィアを死に追い詰めます

その後、資料に明確な記述がないので推測ですが、ジェームスから受け取った大量の薬を使って、兼ねてから折り合いの悪かった姑を心臓発作に見せかけて殺害しています。

※プレイ画面キャプチャーより引用

町のヒーローであり才能ある経営者であり、未来を約束された妻でもあったビビアンですが、愛憎と金によってその数奇な運命をたどることになります。因みに、チャールズの不倫に激怒したビビアンですが、物語の後半に郵便局員の男と密会している描写がバーナードの日記によって描かれています。

神に仕えたこじらせ野郎 マシュー・ブルックス

さて、『ビビアン・ロバーツ殺人事件』の真犯人としてご紹介したマシュー神父ですが、実は聖人の振りをした糞野郎であることが判明します。

※プレイ画面キャプチャーより引用

元々は孤児院で育ったことが資料によって読み取れますが、成長してカルヴィン神父の元で牧師として働くことになります。孤児院の時代に知り合いであったのがソフィア・ミラーであり、マシュー神父はソフィアに密かに恋心を抱いていました。

序盤では、ソフィアの事を従妹であると話してチャールズにメイドとして紹介しますが、これは嘘です。恐らく孤児院で苦しい思いを共にしたソフィアに職を与え、(深読みするならば)チャールズの元で働くことでいつでも会いに行けるという事、あわよくば、いつかソフィアに自分の思いを伝える日が来たら自分も楽が出来ると考えたのではないかなと思います。

物語の後半でソフィアに対するマシューの思いが描写されますが、実はソフィア自身はマシューの事をそれほど気にしていない描写も残されていました。逆に、チャールズとの不倫で子供が生まれた時チャールズの母が後継ぎにするよう指示したことから、『なんかいい感じで収まってラッキー!』くらいに思っている日記が残されています。

ソフィアの失踪後、暫くして真実を知ったマシューは、関係者であるアンドリュー、ジェームス、そしてビビアンを次々に殺害します。そして、住民がどんどん町から離れる中で教会に留まり、事件について調べようとする外部の人間を襲っていました。物語の中で探偵として登場するスティーブン・モスもマシューによって殺害されてしまいます。

一方で、カルヴィン神父が孤児院に預けたスコット(ヴィンセント・ロバーツ)を養子として迎え入れています。これはソフィアに対する思いからだったのか、それともほかに理由があったのかは明確に示されていません。

この事件の黒幕だったマシュー神父ですが、表の顔は町の人々のために教会で働く牧師でしたが、裏の顔はソフィアに振り向いてもらえず、昔の恋を捨てきれない『イタい男』だったのかもしれません。

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人間関係に終始した物語

さて、一通り物語について解説しましたが、皆さんはこの物語のテーマは何だと思いますか?ここからは僕なりに考察した物語の背景にあるテーマについて掘り下げていこうかと思います。

悲劇は私利私欲によって引き起こされている

まず第一に言えることは、この物語の事件や悲劇は私利私欲によって引き起こされているということです。

妻子があり社会的地位があるにも関わらず自分の欲望に走ったチャールズの不倫、功労者であるビビアンの気持ちを考えずに家系を優先したマデリーン(チャールズ母)、激情に任せて強行に走ったビビアン、聖職者でありながら過去の未練を引き摺り続けたマシュー神父、全ての登場人物が自分本位で決断を下したときに、運命の歯車がずれて悲劇的な結末へと向かってしまっている気がします。

この物語では、人間の欲望をまざまざと見せつけた、ある意味では『生々しい』物語であると言えると思います。

大人達の醜さと対比で描かれた無垢な少年たち

大人たちが醜い一面で描かれている一方、トリシャ、スコット、デリックの3名の少年たちは非常に純粋な人間性として描かれています。

トリシャは散々な親の元に生まれながら育ち、後にビビアンの強烈な反対があったものの、スコットへの愛を貫いた可憐な少女として登場します。ビビアン殺害の容疑者としてスコットが逮捕された後も彼の事を信じ続け、スコットの死後、自ら命を絶ってしまうという最期を迎えますが、その存在は『ピュア』以外の何物でもありません。

スコットは、自身の出自がわからないまま『自分自身』が何者であるかという点に苦しみますが、トリシャを一途に愛します。後半で自分自身がチャールズの息子である、故にトリシャとは血縁関係にあるということを悟った時から、自らトリシャと距離を置くことを決意します。混乱と失望、戸惑いと悲しみがあったと思いますが、スコットは全てを知り得たうえでも、それでもトリシャを大切にするという決断をしました。

デリックは、スコットとトリシャと共に幼少期を過ごして親友となり、後にロバーツ家で働きます。成長するにつれ自分のトリシャに対する思いとトリシャのスコットへの眼差しにズレを感じてスコットに対する敵対心を抱きますが、それでも後半で明かされるデリックの想いは『昔のように過ごしたい』という純粋なものでした。

このように、大人たちの醜悪さとは裏腹に純粋無垢な存在として少年たちが悲劇の中を流れる清らかな小川のせせらぎのように、ある種の切なさを演出していると思います。

きっと、全てが分かっていた重要な人物

※プレイ画面キャプチャーより引用

スティーブン・モス探偵は、匿名の手紙によって町に調査に来ました。実はその手紙の差出人は年長の使用人であったドロシー・パターソンでした。

ドロシーはロバーツ家からは絶大な信頼を得ており、トリシャからは母親のように慕われていました。チャールズの不倫にも気づいており、物事の行く末を見守っていました。

ドロシーの日記や資料は、内部を熟知した目線と、達観した第三者的な目線で描かれており、物語を語るうえでは外せない登場人物です。もしこの作品を映画にするのであれば、ドロシーの回想として作るといいのではないかなと思います。

また、ドロシーは最後静かに別れを告げて町を出ていくのですが、そこには何とも言えない悲哀が込められています。栄枯盛衰を目の当たりにして、変わってしまった町の風景を見ながら去っていったドロシーの心情はどのようなものだったのか、想像を禁じえません。

もし皆さんがこのゲームをプレイされる場合は、ドロシー目線で楽しんでいただくとさらに味わい深いものになるのではないかなと思います。

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ゲームとしての総評

それでは最後に、ゲームとしての総評を書いておきます。

高難易度探索ゲームであり、心揺さぶられる物語

ゲームとしては、探索や謎解きの難易度は非常に高い部類に入ると思います。謎解きのヒントが難解だったり一捻りしてあるものが多いので、初見での完全クリアはかなりハードルが高いと思います。実際に僕も一部攻略サイト見ながら配信を進めました。

難易度が高くなる要因として、日記や資料が非常に多く時間軸も前後するので、情報整理が大変です。しかし、このゲームの凄いところは、その情報整理が苦になりません。

資料系が多いゲームの場合疲れてしまったり飽きてしまったりすることもあると思いますが、このゲームは物語が緻密に構成されており内容も興味深いので、全く疲れることなく寧ろ引き込まれていく感覚がありました。

じっくり謎解きをしながらプレイしたいという方にはうってつけのゲームです。

ゲームの進行としては地味

ゲームを始めるとわかりますが、住民が居なくなった町が舞台の為、一切キャラクターが登場しません。(最後にマシューとのチェイス、ソフィアの誘導がありますがそれは除外)

ヒントを取得して謎を解いて次のヒントを探すという繰り返しになりますので、プレイ自体は単調に感じると思います。しいて言えば、いくつかの場面をムービーにしたらもっと没入感が上がるんじゃないかなと思いました。

カメラと手書きメモをしっかり活用

※プレイ画面キャプチャーより引用

アイテムとしてカメラを使用することが出来ますが、何枚でも撮影出来て写真も見返すことが出来るので、気になったものはどんどん記録していくことをおすすめします。

また、手書きでもなんでもいいので、メモを取りながらやった方が謎解きの役に立つと思います。実際にゲームの開始時に『メモを取った方がいいよ』という旨の注意書きが表示されます。

何もなしで謎解きを進めるとかなり大変ですので、是非探偵になった気分でプレイしてみるといいと思います。

もう一度プレイしたい良質ゲーム!

僕は大型タイトル(バイオハザードシリーズとかサイコブレイクとか)以外ではあまり周回プレイってしないのですが、この作品はもう一度最初からやり直したいと思っています。

そのくらい物語が濃密でプレイしがいのある作品であり、皆さんにおすすめできる作品です。

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まとめ

ということで、今回は『ペインスクリークキリングス(The Painscreek Killings)』について物語に焦点を当てて解説をしてみましたがいかがだったでしょうか。

攻略という観点では下記のサイトが参考になると思いますので、併せてご覧ください。

久々に物語だけでこれほど感動したゲームに出会うことが出来ました。正直最初はめんどくさいだけのクソゲーだと思っていましたが、物語の深さに触れた瞬間完全に虜になりましたね。

ぜひ皆さんにも体験していただきたいと思います!最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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