今回は、サバイバルホラーアドベンチャー『ソングオブホラー(Song of Horror)』の物語を解説していきます。このゲームは、謎のオルゴールの音色によって引き起こされる恐怖と死の連鎖に巻き込まれたキャラクターたちの運命を描いています。
『ソングオブホラー(Song of Horror)』のゲームと特徴
このゲームの特徴は、一度死んだキャラクターは二度と生き返らないというパーマデスシステムで、プレイヤーの選択や行動によって物語が変化していきます。この動画では、時系列に沿って物語の全体像を紹介し、各エピソードの謎や結末について考察していきます。
もちろん、ネタバレも含めて解説しますので、自分でプレイしたい方はご注意ください。それでは、『ソングオブホラー』の物語解説、始めます。
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エピソード別に物語を解説
物語は、序曲、5つのエピソード、終曲に分かれており、各エピソードでは、複数のキャラクターの中から操作する人物を選ぶことになります。
どのキャラクターを選んでも探索するエリアは共通ですが、それぞれが独自の視点で調査を行い、見つけるアイテムや手掛かりも異なります。また、キャラクターの死亡や生存によっても、物語の展開や結末が変化していきます。このように、本作は、多角的な視点で物語を見ることができるのが特徴です。
序曲
主人公である出版社に勤めるダニエル・ノイヤーは、仕事から帰宅すると上司のエティエンヌから電話を受けます。その電話の内容は、作家であるセバスチャン・P・ハッシャーと連絡が取れないというものでした。気が乗らないダニエルではありますが、上司からの指示という事もあり渋々ハッシャー邸に向かいます。
ハッシャー邸に到着すると、静まり返った家の中で奇妙な現象や何者かの気配がダニエルに襲い掛かります。そして、ある部屋で見つけたオルゴールの音色と共に、不気味なドアにダニエルは吸い込まれてしまいます。
エピソード1:ハッシャー邸
ダニエルさえも行方が分からなくなったことで、エティエンヌがダニエルの元妻であるソフィーと連絡を取りハッシャー邸に向かいます。そこで彼らが目にしたのは、不気味な雰囲気のハッシャー邸と、奇妙なメモや古いドアでした。
家の中を探索していると、突然ドアの向こうから『得体の知れない何か』がドアをこじ開けようとしてきます。それを必死で食い止めると、この家には何か奇妙なものが渦巻いているのではないかという疑念が漂ってきました。どうやらハッシャーの家族さえも、行方が分からなくなっており、それはハッシャーが取りつかれてしまった『何か』によるものではないかという疑問が浮上します。
最終的には、家の奥で倒れているダニエルを発見してこのエピソードは幕を閉じます。
エピソード2:不気味なる静けさ
救出されたもののハッシャー邸で聞いた不気味なオルゴールの音色が頭から離れなかったダニエルは、その原因と謎の正体を探るため、オルゴールをハッシャーに送ったとされる『アイザック・ファーバー』の骨董品店を訪れます。
しかし、ハッシャー邸と同じくそこにはファーバーの姿はなく、奇怪な現象がダニエルを襲って来るのでした。そこで、ファーバーに送られた手紙を見つけ、そこにはオルゴールが19世紀後半から20世紀初頭に作られたものであることがわかります。
骨董品店と並列になっているファーバーの家を進んでいくと、そこには首を吊ったアイザック・ファーバーの姿があるのでした。オルゴールを見つけたもののファーバーの死を目の当たりにしたダニエルは、この不気味なオルゴールの持ち主であると思われる『アリアドネ・ルグラン・アムスバーグ』という老婆を訪ね、オルゴールを返して自宅へと戻りました。
エピソード3:紆余曲折
オルゴールをアリアドネに返したものの恐ろしい幻覚が収まらず、事態を重く見たダニエルは、ハッシャーが勤めていた大学の研究室に何かあるのではないかと考えます。
ハッシャーの教え子だった『オマー』と『グレース』の協力を得てハッシャーの研究所を案内してもらいますが、どうやら教え子の二人もハッシャーの様子がおかしいと感じていたようです。
ハッシャーの机には、オルゴールについて触れられたメモがあり、そのメモを手掛かりとして大学を捜索したところ、『アルゴス・ルグラン・アムスバーグ』という人物が関わっていることがわかりました。そして、その妻と長女が奇妙な死を遂げており、唯一生き残ったのが、あの『アリアドネ・ルグラン・アムスバーグ』だったという事がわかります。
そして、アルゴス・ルグランに関する記録を辿ると、どうやらオルゴールの音色が1912年にとある修道院で開かれた音楽会でも演奏されていた事を突き止めます。
エピソード4:最後の音楽会
音楽会が開催された修道院では、例の曲が演奏された後、その場に居たほとんどの人間が謎の死を遂げたり失踪したりしたことがわかりました。この情報をつかんでいたハッシャーは、例のオルゴールの謎を解くために、その修道院を訪れようと姿を暗ましたのです。
ハッシャーの行方と音楽界の謎を探るため、ダニエルは修道院へと足を運びます。そこは既に廃墟になっており、何かが隠されているであろう厳重に鍵のかかったドアを見つけます。
過去に起こった出来事と共に、恐怖の音楽界の真相を知っていくダニエルは、例の厳重な鍵を開けることに成功しますが、その先に変わり果てた姿のハッシャー見つけるのでした。
エピソード5:恐怖と旋律
オルゴールを聞いたすべての人間が非業の死を遂げたり謎の失踪をしている事実を受けて、ダニエルは恐怖を覚えます。また、唯一の手掛かりとなったアルゴス・ルグランの記録から、妻と長女の死はアルゴス・ルグランによる殺害だったことがわかりました。そして、その後アルゴス・ルグランは自ら命を絶ったのでした。
唯一助かったアリアドネ・ルグラン・アムスバーグですが、精神病院で治療を受けることになりました。ダニエルは憔悴しきっており、知り合いに電話をかけて、アリアドネが収容された精神病院を探索してほしいと頼みます。
朽ち果てた精神病院を探索すると、アリアドネはオルゴールを聞いても精神崩壊せずにいたことが、主治医のベレニス・プレストガードの記録によって明らかになりました。しかし、アリアドネと交流を続ける間に、ベレニス・プレストガード自身も奇妙な幻覚に悩まされるようになります。
そして、幻覚に登場する『あの場所』へオルゴールを持っていくことで、呪いの螺旋を断ち切ることが出来るのではと考えました。
終曲:あの場所
ベレニス・プレストガードの残した記録から幻覚の中の『あの場所』にオルゴールを封印することで、呪いの螺旋から逃れることが出来ると確信したダニエルは、再びアリアドネ・ルグラン・アムスバーグの住む屋敷を訪れます。暗く湿ったその館の中で椅子に腰を掛けたアリアドネにオルゴールの在処を尋ねると、2階にあると話します。
屋敷の所々には、アリアドネの姉『エレイン』の肖像画が飾られており、ダニエルを不気味に見つめていました。
オルゴールがある部屋にたどり着いたダニエルは、鏡の前で『あの場所』へと移動できる儀式をしてやっとの思いでオルゴールを封印することが出来ました。
一息ついたダニエルは眠ってしまい、目覚めると辺りはもう真っ暗です。アリアドネに対して明かりをつけていいか尋ねると断られ、またあのオルゴールの音色が響く暗闇の中でダニエルの悲鳴が響いて物語は幕を閉じます。
最後の最後、元妻ソフィーの声に助けを求めるダニエルですが、ソフィーはそのドアを必死に閉じて、ダニエルは永遠の闇に囚われてしまうのでした。
結末の解釈はプレイヤーに委ねられている?
簡単に『ソングオブホラー(Song of Horror)』の物語のあらすじを解説しましたが、ここからが問題です。
どうやら、ダニエルが最後にオルゴールを封印したあと現実世界に戻ってきたようですが、封印したはずのオルゴールが目の前にあるのです。
長い間しばらくプレイしてきてようやくエンディングだと思った僕は頭の中が、ハテナでいっぱいになりました。しかし、落ち着いて考えると何となく『こうじゃないか』という想定が出てきたので、それを紹介します。
あくまでも僕なりの解釈ですので、一意見として参考まで。
ダニエル助かってない説
エピソード1のハッシャー邸でダニエルが救出されたという描写があるので、オルゴールの音色を聞いてもダニエルだけは呪われなかったという風に思っていたのですが、これが全ての事をややこしくしている気がしました。
要は、ダニエルは助かっていないのでは説です。
まず、ダニエル以外のキャラクター(プレイ可能なキャラ)でオルゴールの音色を聞いた人はいません。プレイ不可の登場人物として、ハッシャー、アイザック、アルゴス・ルグラン、ベレニス・プレストガードは全員闇の存在に取り込まれて死亡または行方不明になっています。
また、最後の部分でアルゴス・ルグランがベビーベッドに斧を振りかざすシーンがあるので、あれが家族を殺した描写になっているとしたら、アリアドネはその後精神病院に収容されており生きていることになります。
そして、エンディングで出てくるオルゴールには『長女のエレインへ』と書かれていました。
ここから、僕は二つの仮説を立てました。内容は次の通りです。
- アルゴス・ルグランが持ち帰ったオルゴールは2つあった。だから、アリアドネに向けたオルゴールは無くなったけどエレインの分が呪いを継続させていた。
- そもそもダニエルはすでに闇の存在に取り込まれており、助かっていなかった。アリアドネも同じで、二人は同じ次元に存在していた。
これらを踏まえて、僕の出した物語の結論は次の通りです。
『ソングオブホラー(Song of Horror)』の結末徹底考察!
エピソード4で登場する廃墟となった修道院を探索するまでは、ダニエルはある程度正気を保っていたのではないかと思います。理由は、アイザック・ファーバーの娘のエリカや、ハッシャーの教え子など、オルゴールを聞いていない人物とも行動を共にしており、その段階で死亡または失踪という線は薄いかなと思います。
しかし、エピソード5で精神病院を探索する段階では、ダニエルは登場せず疲弊しているという描写が描かれています。この段階でダニエルは呪いの呪縛に囚われて、向こうの世界に行ってしまうのではないかなと思います。
また、一度は助かったかに思えたダニエルが結局呪いに囚われたのは、ダニエル達が追っていたアリアドネのオルゴールではなく、エレインに送られたオルゴールによるものだと考えると納得がいきます。
故に、精神病院でオルゴールの封印の謎が分かった時点で、アリアドネと同じようにダニエルもまた闇に囚われてしまっているのではないかなと思います。
つまるところ、この物語の呪いは止めることが出来ず、『見つかったら、終わり』というこのゲームのコンセプトを貫き通しているのではないかなと考えました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。僕なりに辿りついた結論ではありますが、ゲームのコンセプトとしては、『助からなかった』という結末も、呪いの謎に対して自分なりの解釈が持てるので面白いかなと思いました!皆さんのご意見も是非コメントで教えてください!
このゲームのオススメポイントなどを紹介した記事もあるのでよかったらそちらもご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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