今回は、以前プレイした『Fobia – St. Dinfna Hotel』についてプレイレビューを紹介します。主人公はメールがきっかけであるホテルに滞在することとなります。過去の出来事なのか現実の出来事なのか区別がつかなくなるような、不思議な空間のねじれが特徴的な物語です。
今回は、初見プレイの感想や所感をご紹介しつつ、僕自身がそうであったように『物語の全容が掴めない』『エンディングの意味がイマイチ理解できなかった』という人の為に、物語の詳細とエンディングの理解につながるような詳しい解説をご紹介します。
ゲームとしての全体概要
まずはややこしい物語を置いておいて、ゲームとしてどんな感じの作品かという点をサクッとご紹介します。
1人称視点のサバイバル系探索ホラーという感じで、ストーリーを進めていくことで、背景に隠された秘密を解き明かしていくというのがメインのゲームです。

アクション性はそれほど高くない
ストーリーを進めていくと、敵が出現しますが、戦闘やアクションの難易度という点ではそれほど高くないと思います。銃を中心に武器が手に入りますが、弾薬や回復アイテムの数もそれなりに落ちているのでしっかりと探索すればそれほど枯渇することはないと思います。
特徴的なカメラシステム
このゲームの特徴的な部分として、キーアイテムで登場するカメラが重要な役割を果たします。カメラを構えてレンズを通すと、過去の世界が見えることがあります。これによって、現実にはなかった道が存在して通れたり、見えなかったヒントを見つけることが出来ます。
マップが複雑で迷いやすい
僕がプレイ中に強く感じた点は、マップが非常に複雑であるという点です。ホテルというそもそも迷いやすい(同じような作りの部屋が多く複雑)状況ですが、その上で前述したカメラの要素もあるので、自分がどこにいるのか、行ってない部屋はどこなのかということが分からなくなりがちです。
謎解きの難易度はまぁまぁ高い

謎解きの難易度はそれなりに高いと感じました。メモやその場にあるヒントをしっかりと探索して見つけないと解けないものが多く、初見では結構時間がかかると思います。逆に、作り込まれた謎解きになっているので、好きな人にとっては非常にやりがいのある内容になっていると思います。
物語は極めてややこしい
物語は非常にややこしく、解釈が難しい部分がありました。僕自身も初見では理解が出来ず、その後色々と文献を調べたうえでこのブログを書いています。今回は、僕と同じように解釈に迷った方向けに、物語の詳細を後述します。
物語の詳細
それでは、ややこしい物語を可能な限り詳細にわかりやすく解説します。あくまで僕の解釈なので、間違いなどがあればご指摘のほどよろしくお願いいたします。
物語をギュッとまとめるとこんな感じ
まずは、複雑な物語をプロットでまとめます。何となくイメージしながら詳細をご覧ください。
- 1920年、クリストファーが球体を手に入れ、村ごと皆殺し → 聖なる道と聖ディンフナホテルが誕生
- 教団は時間異常とミューテーションを利用した研究を進め、アキレスという怪物を生み出す
- 1960年、探偵ジョアンが調査に来るが、地下で命を落とす(プロローグ)
- 2010年、ジャーナリストのロベルトがホテルに来訪 → 黒い穴をきっかけに異常世界へ
- カメラを通じて別時間/別現実を見ながら、ホテルと地下施設の真相に迫る
- 終盤でガスマスク少女=未来の養女エミリーの存在と、時間ループの構図が浮かび上がる
- クリストファーとの対峙で
・手を取れば「ループを利用して壊そうとする未来ロベルト」の準備が整うJOINエンド
・反抗すれば「別の周回としてループが続く」DEFYエンド
という形で、自由意志 vs 運命のテーマが提示される
物語を紐解くポイント
このゲームの特徴として、過去に起きたことと主人公が体験することが交錯するので、登場する場所や出来事などポイントとなるものを整理します。
舞台:トレゼ・トリリャスと聖ディンフナホテル
- トレゼ・トリリャス(Treze Trilhas)
ブラジルの鉱山町。もともとは鉱山労働者の村として作られた小さなコミュニティ。 - 聖ディンフナホテル(St. Dinfna / Santa Dinfna Hotel)
かつての鉱山跡地に建てられた高級ホテル。
表向きは観光地の象徴だが、その地下にはカルト教団の施設や研究所が隠されている。
カルト組織:聖なる道(The Sacred Trail)
- 創設者:クリストファー(Prophet Christopher)
元は鉱山事業を率いる立場の男。後に「預言者」「メシア」として崇拝される存在になる。 - 思想:自由意志(Free Will)の追求
表向きは「人類の向上」「恐怖からの解放」「自由意志の獲得」を掲げるが、
実際には時間そのものを支配し、運命をねじ曲げる力=真の自由を求めている。
球体(Sphere)と時間異常
- 鉱山から発掘された謎の球体(アーティファクト)が、物語の根っこにある存在。
- 球体は、時間の流れの歪み、生物のミュータント化、超常的な治癒・能力の発現など、
あらゆる異常現象の元凶となっている。
主な登場人物
- クリストファー:教団創設者。球体と同調し、時間ループの中心にいる男。
- ダヴィ・メネゼス(Davi Menezes):現代の聖なる道のリーダー格。
- アキレス(Aquiles):ダヴィの息子。治療実験の結果、ガスマスク&巨大な爪の怪物へ変貌した存在。
- ステファニー(Stephanie):ロベルトに情報を流した女性。教団に関わりつつも反発心を抱いている。
- ジョアン・ルイス(João Luis):1960年に失踪した私立探偵。ゲーム冒頭の牢屋パートの人物。
- エミリー(Emily/ガスマスクの少女):ガスマスク姿で現れる少女。終盤で正体が示されるキーパーソン。
- ロベルト・レイチ・ロペス(Roberto Leite Lopes):本編(2010年パート)のプレイヤーキャラとなるジャーナリスト。
年代順で見る『Fobia』の物語
1918〜1920年:クリストファー、球体と出会う

- 1918年ごろ:クリストファーの帰還
クリストファーが鉱山事業を率いるため、トレゼ・トリリャスへ戻ってくる。
移民労働者を集め、鉱山とその周辺に小さな村が形成されていく。 - 1920年:鉱山事故と“真相”
・鉱夫たちが坑道の奥で謎の球体(Sphere)を掘り当てる。
・公的な記録では「事故で多数の鉱夫が生き埋めになった」とされ、
クリストファーは「命は金には代えられない」と鉱山を閉鎖する“聖人”として扱われる。
・しかし実際には、球体の力を独占するために、鉱夫や村人たちをクリストファーが抹殺したと示唆される。
・「事故」の話はカバーストーリーで、遺体は教会などにまとめて埋められている。 - ホテル建設と教団創設
・クリストファーは球体のある場所を封じ込めるように、その上に聖ディンフナホテルを建設。
・同時に聖なる道(The Sacred Trail)という教団を立ち上げ、自らを「預言者」として崇拝させる。
・球体の力を「神の祝福」として利用し始める。
この段階で、時間をいじる力+カルト+ホテルという、『Fobia』世界の核が揃います。
1920〜1960年:聖なる道の研究とアキレス誕生

- 教団の表と裏の顔
・表側:「恐怖と病から人類を解放する」「人間をより良くする」といった理想主義的な教えを掲げる。
・裏側:球体由来の異常エネルギーを利用し、人間の進化・怪物化・時間操作などの非人道的な実験を進めている。 - ダヴィ・メネゼスと息子アキレス
・時代が下ると、ダヴィ・メネゼスが教団の実務的リーダーとして登場。
・彼の息子アキレスは、プロアスリートを目指していたが若くして難病を抱えてしまう。
・ダヴィは息子を救うため、地下施設の実験の被験者にする決断を下す。 - アキレスの“治療”と変異
・球体の力を応用した治療は、肉体を回復・強化する一方で、精神と肉体を異常な方向へねじ曲げていく。
・その結果、アキレスは
・巨大な爪のような腕
・ガスマスクをつけた感情のない怪物
へと変貌してしまう。
・暴走を抑えるためにGas 320MHTというガスが使われ、施設全体が「アキレスを制御する檻」と化していく。
1960年:ジョアン・ルイスの調査と失踪(プロローグ)

ゲーム冒頭の牢屋パートは、実は1960年の出来事です。
- 失踪した私立探偵ジョアン・ルイス
町の不穏な噂を追ってホテルを調査していた探偵ジョアン・ルイスは、
教団に捕まり、ホテル地下の牢屋に監禁される。 - プレイヤーが操作するのはジョアン
プロローグでは彼が牢からの脱出を試み、地下を徘徊するアキレスに襲われる様子が描かれる。
最終的にジョアンは生還できず、彼の失踪は「1960年の謎の行方不明事件」として語り継がれる。
のちにロベルトが調べる「1960年に探偵が消えた事件」が、プレイヤーの見たプロローグそのもの、という構図になっています。
2010年:ロベルト、ホテルへやって来る(本編)

物語の本編は2010年が舞台です。
- ジャーナリスト、ロベルトの訪問
・新人ジャーナリストのロベルトは、謎のメールを受け取る。
・差出人はステファニー。
彼女は「トレゼ・トリリャスでの失踪事件や、ガスマスク姿の少女の噂」を調べてほしいと依頼する。
・ロベルトはネタを求めてホテルに一週間滞在するが、なかなか成果が出ず、帰ろうかと悩んでいる。 - 黒い穴と世界の崩壊
・ある夜、部屋のバスルームに突然黒い異常空間が出現し、ロベルトはそれに巻き込まれて気絶する。
・目を覚ますとホテルは炎に包まれ、廃墟のように崩れ、クリーチャーが徘徊する地獄絵図へと変貌している。
・ここから、プレイヤーが自由に動ける『Fobia』本編がスタートする。
カメラと「もう一つの現実」

- 謎のカメラを入手
・ロベルトは部屋を調べる中で、特殊レンズ付きのカメラを発見する。
・このカメラを覗くと、
・普通の視界では塞がれている壁の向こう側が見えたり
・壊れている構造物が「まだ壊れていない状態」で見えたり
・別の時間軸に存在するオブジェクト(スマホ・PC・穴など)が見えたりする。 - カメラの正体(解釈)
・ゲーム中のメモや演出から、カメラは
「球体の力でねじれた複数の時間・現実を重ねて見せる装置」
あるいは「特定の時間軸(1960年や未来)へ接続する媒体」
のように解釈できる。
・壁のメッセージ「We are connected by a camera(カメラで繋がっている)」も、
カメラ越しに別の時間の誰か(=エミリー)がロベルトとコンタクトしていることを示唆している。
ステファニーと教団内の亀裂
- 電話越しのステファニー
・ホテル内の固定電話で、ロベルトは何度かステファニーと会話する。
・彼女は当初、冷静に状況を説明する“情報提供者”だが、
会話が進むにつれ、
・ロベルトがまだ生きていることに驚く
・教団への不信感をあらわにする
など、感情の揺らぎを見せ始める。 - ステファニーの立場
・彼女は教団に協力しつつも、クリストファーやダヴィのやり方に疑問を抱いているように見える。
・ロベルトを利用して内部から何かを変えようとしている立場とも受け取れるが、
彼女の最終的な目的はかなりぼんやりしており、プレイヤーにも解釈の余地が残されている。
地下研究施設とアキレスの真実

物語後半、ロベルトはホテルの地下に広がる巨大施設へとたどり着きます。
- 研究施設の目的
・球体からもたらされる時間異常やミューテーションを利用し、
・完璧な兵器
・完璧な人間
を生み出そうとする生体実験が行われている。 - アキレスの経緯が明らかになる
・施設の痕跡や手紙から、
・アキレスはもともと普通の少年で、難病に苦しんでいたこと、
・ダヴィは息子を救うために実験を受けさせたこと、
・初期段階では病状こそ改善したものの、精神は壊れ、肉体は怪物化していったこと、
が分かってくる。
・今のアキレスは、敵味方の区別もつかない殺戮マシーンとなり、ガスでかろうじて制御されている。 - アキレスとの最終決戦
・終盤、ロベルトはアキレスをガス室のようなアリーナに誘い込み、ガスや銃火器を駆使してついに撃破する。
ガスマスク少女=エミリーと時間ループ

- ガスマスク少女の正体
・終盤の情報や収集物、ファンの考察を合わせると、ガスマスク少女はエミリー(Emily)という少女で、
・未来(おおよそ2060年ごろ)の時間軸で、
・ロベルトに育てられた養子
という設定だと解釈されている。 - エミリーの能力と目的(有力な解釈)
・球体や時間異常の影響で、エミリーは
・時間を超えて意識や存在を送り込む能力
・カメラ越しに他の時間の出来事を“見る”力
を持つようになったと考えられる。
・彼女は「父」であるロベルトを救うため、過去に干渉し、クリストファーが支配する時間ループを壊そうとしている。 - 時間ループの構図(ざっくり)
1. 1920年:クリストファーが球体を得て教団を立ち上げる。
2. その結果、
・1960年のジョアン
・2010年のロベルト
・2060年のロベルト&エミリー
といった時間軸が生まれ、それぞれがホテルと教団に関わる。
3. 未来ロベルト(エミリーの“お父さん”)は、自分たちの未来を守るために
エミリーを過去に送り込み、時間ループを“利用して”時間ループを壊そうとする計画を立てる。
4. しかしクリストファーも時間ループの存在を理解しており、
何度も繰り返されるループの中で、「R.L.というイニシャルの男(ロベルト)が鍵になる」と気付いてしまう。
5. そこで彼は、
「適切なR.L.をホテルに呼び寄せ、意のままに操る」ことで、ループを自分有利な形で固定しようとする。
クリストファーとの対峙と「選択」

アキレスを倒し、研究所の奥へと進んだロベルトは、球体の力が渦巻く中でクリストファー本人と対面します。
- クリストファーの宣言
彼はおおよそ次のような主張をする:
・球体の力によって自分は時間を超越した。
・人類は「自由意志」という幻想に惑わされており、本当の意味で自由ではない。
・自分はその“自由意志問題”を解決し、人類から選択の苦しみを取り除くことで真の救済を与える。
・その計画を完遂するには、ロベルトの存在が必要だった。 - エンディング分岐:二つの選択
プレイヤーはここで、
・クリストファーの手を取る(JOIN/合流)
・銃を取って彼に反抗する(DEFY/反抗)
のどちらかを選ぶことになる。
エンディング考察と時間ループの行き着く先
「手を取る」エンディング(JOIN)
- 表面的な流れ
・ロベルトはクリストファーの言葉を受け入れ、彼と握手する。
・映像上は、ロベルトが教団側に取り込まれたように見える。 - 裏で起きていること(考察)
・ゲーム中の文書には、R.L.L.の署名のあるメッセージがあり、
それは未来のロベルトが過去の自分に宛てた“指示書”だと解釈される。
・クリストファーに協力した未来ロベルトは、表向きは教団の一員として動きながら、
裏で時間ループを壊す計画を立てていた可能性が高い。
・その一環としてエミリーを過去に送り込み、
同じループをもう一度起こさせることで、どこかのタイミングで“決定的なズレ”を起こそうとしているとも読める。
つまりJOINルートは、
ループを完全に脱出したハッピーエンドではなく、
「クリストファー側に入ったフリをした未来ロベルトが、ループを壊すための仕込みを完了した」準備段階のエンド
と見るとしっくりきます。
「反抗する」エンディング(DEFY)
- 表面的な流れ
・ロベルトは銃を取り、クリストファーに歯向かう。
・しかし球体と時間異常の力の前に状況はねじ曲がり、
「夢オチ」や「世界の改変」にも見える不穏な映像が流れる。 - NG+とループの示唆
・DEFYエンドを取ると、ゲームはNew Game+を解放する。
・このNG+は、「物語世界における“もう一周”のループそのもの」だと解釈されることが多い。
・銃を取って抵抗したとしても、ループを断ち切るには至らず、
別の周回に移行しただけというエンドになっている。
テーマを整理してみる
自由意志と運命
- クリストファーは、
「人間は環境と原因の積み重ねに従うだけで、本当の意味で自由ではない」
という考えから、
「人が自分で選ばなくていい世界を作る」=選択を取り上げることで人類を救う
という、かなり歪んだゴールにたどり着いている。 - 一方、ロベルトやエミリーは、
「どんなに時間ループががんじがらめでも、その中で別の選択をしてみせる」
という逆方向の“自由”を模索している。
このせめぎ合いが、
・エンディングの二択
・周回要素(NG+)
にそのまま反映されていると言えます。
家族への執着
- ダヴィは、病の息子アキレスを救うために、結果として化け物に変えてしまう実験を選ぶ。
- 未来ロベルトは、養子のエミリーを守るために、危険を承知で過去へのタイムトラベル計画を仕込む。
どちらも「家族のため」が出発点ですが、
・ダヴィは現実を見失い、教団の狂気に飲まれるルート
・ロベルトは理性を保ちながら、自由意志でもがこうとするルート
に分かれているのが印象的です。
物語を理解したうえで、2周目をどう楽しむか
注目して見ると楽しいポイント
- ホテル内のポスターや新聞記事
1920年の「鉱山事故」の記事は、クリストファーの偽善的な語りとセットで読むと一気に不気味さが増す。 - カメラでしか見えないメッセージ
「We are connected by a camera」などの文言を、エミリー目線のメッセージだと思って読むと、ドラマ性がぐっと増す。 - ステファニーの台詞
一周目ではただの案内役に見えるが、教団内で揺れ動く一人の人間として聞くと、印象が大きく変わる。 - アキレスの登場シーン
単なる追跡者ではなく、「父に救われそこねた元・人間」として見ると、ホラーでありつつも悲劇性が強く感じられる。
物語まとめ
「なんとなくモヤっと終わったな」と感じていた人も、時間軸で並べてみると、クリストファーの狂気、ダヴィとアキレスの悲劇、ロベルトとエミリーの“時越しの親子”ドラマが一本の線で繋がって何となく全体像が理解できてくるのではないでしょうか。
このゲームの良かったところ
いかがでしょうか。物語を深く掘り下げて詳しくみていくと、なんとなくモヤモヤしていた事が一本の線になってご理解いただけるのではないでしょうか。
ここからは、物語を理解した上でゲームとして良かったと思う部分をご紹介します。
全編日本語訳がされている
僕は多くのホラーゲームを初見でやっていますが、この手のゲームにありがちなのが日本語訳がローカライズされていないということがよくあります。ゲーム自体は面白いのに、字幕が不自然で楽しめなかったり、中には全く日本語に対応していないというゲームも多く存在します。(Steamの場合)
このゲームは完全に日本語プレイに対応しており、インベントリやキャラクターの字幕、書類などについても自然な日本語にてプレイできるので、全く違和感なくプレイすることが可能です。
物語についても日本語で理解できるレベルまで対応しているので、じっくりプレイすれば誰でも理解できる内容となっています。
カメラが独特のゲーム体験になっている
キーアイテムとなるカメラですが、過去を映し出すという特徴から、非常に探索が面白いです。現実では存在しなかった通路や見つからなかったアイテムなどが発見できることから、探索の面白さを引き立てていると思います。
また、カメラで見える世界は基本的に過去のものという設定の為、物語を理解するためにも非常に重要な役割を果たしており、それがゲームプレイとうまくマッチしていると思いました。
ゲームボリュームがちょうどいい
ゲーム全体のボリュームとしては、長過ぎず短過ぎずちょうどいいと思います。また、ある程度話の段落ごとに区切りが良いので、長時間プレイしていても飽きることはなく、次の展開を期待しながらプレイすることが出来ました。
個人的には、過去編(クリストファー目線)がもう少し具体的な物語の解釈に繋がるような描写が多いとより良いのではないかと思います。全体的な比較で言うとちょっと短かったかなという印象です。
このゲームで大変だったこと
次に、僕が初見プレイを終えて大変だったと思う部分をご紹介します。
ストーリーラインを追うのが難しい
まずは、その複雑な物語を理解するのが難しかったです。時系列的には『過去→牢獄→現代』という順番で話が繋がっていますが、プレイする順番は『牢獄→現代→過去→現代』という順番でプレイすることとなります。
そのため、いつ何が起こっていたいのかということを整理するのが難しく、『だからどうしたのか?』という答えにたどり着くまで時間がかかりました。
また、プレイヤーの視点として操作するメインキャラクターが、『ロベルト、クリストファー、ジョアン』と3名登場するため、それぞれの視点で起きていることを理解しないと、どのような物語の構造になっているのかという点がなかなか把握しにくいと思います。
このように、物語自体の複雑さと誰の視点で何を見ているかという点が切り替わるので、初見では全体を理解するのが結構難しいと思います。
ボス戦がまぁまぁキツイ

通常の敵と比較して、ボス戦は結構大変だったイメージがあります。
具体的には、敵の移動速度の速さや消費弾薬の多さなどが、通常の敵と比較して難易度が高く設定されているように感じました。
まぁ、ボス戦なので当たり前と言えば当たり前なのですが、それでも攻略難易度が非常に高いなと感じた部分でした。
ホテルの構造が複雑で迷子になりやすい

ゲームを進めていくと、ホテルの探索場所が広がっていきますが、構造がかなり複雑になっており、どこに行けばいいのか分からなくなる場面が多くみられました。
また、前半と後半では通れるルートが変化する場所もあるため、僕のように空間認知能力が低いと全ての探索を攻略するのは結構大変だと思います。
一部の謎解きがめっちゃ難しい
探索の難しさと相まって、一部の謎解きが非常に難しく感じました。実際に初見プレイの段階では全ての謎解きがクリアできず、初見プレイ完了後にこのブログを書くために周回プレイをしましたが、それでも攻略サイトを見ないと分からない謎解きが複数見受けられました。
実際にプレイしていると敵の配置もあり、探索が勧められない事と、ホテルの構造が非常に複雑でルートが分からなくなる事、そもそも謎解きの難易度が非常に高い部分があるという点が、個人的には難しいポイントだったなと感じます。
総合評価
それでは、総合評価です。あくまでも個人的な評価です。
全体的には没入感が高く、作り込まれたホラーゲーム
1人称視点で展開されるという点と、主人公の困惑や動揺がプレイヤーにリンクしやすい作りになっているため、ゲームの世界観がゲームプレイに反映されやすい作品だと感じました。
また、全体的な物語の流れとしては必要以上に迷うことが無いように設計されており、探索や謎解きが苦手な方でもクリアするだけならそれほど苦戦しないようになっていると思います。ただし、上述した通り、ホテルの構造や謎解き難易度などを鑑みると、完全攻略という点では非常に難易度の高いゲームです。
総じて、『ライトに楽しむ』こともできるし、『徹底的にやり込む』ことも出来るという点では優れたゲームだと思いました。
また、敵との戦闘シーンをメインとするアクション性の部分でも簡単すぎず難しすぎずという難易度設定で、ボス戦はそれなりにスキルが必要ではあるものの、全体的には万人受けする内容になっていると思います。
物語の独自性はあるが、今一つ腑に落ちない部分もある
物語としては、クリストファーが仕組んだ陰謀がメインとなる背景がありますが、個人的にはもう少しホラー寄りにしてほしかったなと思いました。
具体的には、過去編(クリストファー編)で村人がクリストファーによって殺害されたという描写がありますが、村人の恨みがホテルの異変に何か関係してくるともっとホラー感が増すのではないかなと思います。
超常現象や超能力的な要素が多く、僕個人としてはタイプ的に好みのホラー内容ではなかったなと感じました。
エンディングが尻切れトンボ
正直な話、エンディング手前までは結構いい感じでプレイすることが出来ました。
しかしながら、エンディングで2択を迫られた後は物語の背景もそれほど解説されずエンドロールが流れます。
これが僕個人としてはちょっとガッカリ感がありました。エンディングでは『そういうことだったのかー!』感が欲しいんです。それまで色々と探索して物語を進めてきて情報が揃ってきて核心に迫ってきたものの、エンディングが終わって感じた感想は『ふーん…』でした。
点数で表すと、最終ボス戦前までは85点、ボス戦以降が10点という感じで、テンションの変化が大きく、達成感やスッキリ感が最後に少なかったように感じました。
まとめ
ということで、今回は『Fobia – St. Dinfna Hotel』の初見プレイを解説しましたがいかがでしたか?中盤までは本当に楽しかったんだけどなぁ…
やっぱり、僕の期待したホラー感がちょっと少なかったのかもしれません。なんかSFチックというか。不気味なホテルでの探索がいきなり超能力でなんでもありになった感じがしました。
ただ、周回プレイ要素という観点では非常にやりごたえのあるゲームだと思いますので、興味のある方は是非プレイしてみてください。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。


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